どんなときもWiFiを2019年の8月から使っています。今回、見事に通信障害でどんなときもWiFiのモバイルWi-Fiルーターが使えなくなりました。

どんなときもWiFiとは、通信無制限を謳うモバイルWi-Fiルーターでのインターネット接続サービスで、トリプルキャリア(ドコモ・au・ソフトバンク回線)に対応しています。
すごいのは、場所によって自動的に最適なSIMカードをクラウドから読み込み、それで通信量無制限のデータ通信サービスを利用することができるので、まさにモバイルWi-Fiルーターの革命児と言っても過言ではないでしょう。
とはいいつつ、クラウドからSIMカードを読み込み接続されるのは9割方ソフトバンク回線で、その大本の回線は、ソフトバンクから法人向けに再販されたSIMカードだと思われます。
Contents
以前書いたどんなときもWiFiの記事
本題に入る前に関連記事を紹介します。
どんなときもWiFiは今のところ最高!普通にノマドワーカーとして1ヶ月使ってどう思うのかレビュー!|りんログ
モバイルWi-Fiルーター「どんなときもWiFi」にWiMAXから乗り換えた理由 ―完全無制限で高速なのが泣ける|りんログ
どんなときもWiFiのシステムの「クラウドSIM」とは?
通常、携帯電話やモバイルWi-Fiルーターなどには、通信する際に必要なSIMカードが挿入されています。しかし、どんなときもWiFiのモバイルWi-FiルーターにはSIMカードを挿入するところがなく、通信に必要な情報は、クラウドから読み込まれ、ユーザがいる “場所” にあったSIMカードの情報がモバイルWi-Fiルーターに割り当てられます。なので、国内だけでなく、海外でも安価にデータ通信が利用できます。
画像はクラウドに挿入されているSIMカードですが、どんなときもWiFiでは、中国のuCloudlink社のGlocalMeの設備を流用しています。
どんなときもWiFiはソフトバンク回線を主に使用
どんなときもWiFiではソフトバンク回線に接続されることがほとんどです。使用されるSIMカードは、通常のMVNO(格安スマホ)とは違い、ソフトバンク回線のSIMカードをソフトバンクから法人向け再販で “SIMカードそのもの” を純粋に借り受けて、使用しているものと思われます。
仕組みは、モバイルWi-Fiルーターに内蔵されている海外の通信事業者・VodafoneのIoTのSIMカードの情報で、データ通信を利用する際に読み込むSIMカードの情報をクラウドから読み込み、データ通信を行えるようになります。
その際には、クラウドでランダムでSIMカードの情報を読み込むため、端末を再起動するごとにSIMカードがそれぞれ割り当てられるため、IPアドレスの情報が逐一変わります。
エンドユーザに無制限プランとして提供する場合、ローカルキャリアから無制限SIMを調達できればそれでいいのだけど、それができない場合は100GBプランや50GBプランのSIMをたくさん買ってきて、仮にある端末がそれを使い切ったら、次のSIMをバーチャルに端末に割り当てる仕組み。
— しのぶ (@sinobu) March 22, 2020
「食べ放題」のビジネスモデルで展開

※NEWS PICKSより
どんなときもWiFiは「食べ放題」のビジネスモデルで展開されています。
ソフトバンクから完全無制限の契約でSIMカードを借りているのではなく、1回線100GBのような契約でSIMカードを借りているようです。SIMカードの残り容量を使い果たしてしまうと、新しいSIMカードに割り当てることで無制限を実現しているようです。
しかし、100GBなどでSIMカードを複数用意しても、無制限を謳っている以上、過剰に使ってしまうユーザーもいます。
どんなときもWiFiのイメージとして、「食べ放題」のような感じが当てはまるでしょうか。どんなときもWiFi側でそれぞれ一定のデータ量のSIMカードを用意しておき、あまり使わないユーザーの分を他の過剰に使うユーザーに割り当てるイメージが適切だと思います。
5ch(旧2ch)のモバイル板では、SIMカードの割り当てについて “椅子取りゲーム” と表現しています。
2月から通信障害が発生し、通信速度が50kbps程度に
どんなときもWiFiは、CMなどのプロモーションで新規ユーザーを獲得する一方、既存ユーザーの通信量のコントロールがうまく行かず、通信障害を発生させています。
今年の2月に、具体的には想定ですが、過剰にデータ量を回線に流すユーザーが多くなったことから、ソフトバンク側から通信制限をかけたSIMカードが多くなり、通信速度が50kbps程度に落ちたユーザーが多くなりました。
この障害は3月に入ると、ソフトバンク側のカウントがリセットされ、快適に通信できるようになったとのことです。(5chモバイル板より)

今回、2月の通信障害では、障害が発生したユーザーを対象に「無償解約」もしくは「次月の月額料金1ヶ月を減額」と対処を発表しています。
筆者のどんなときもWiFiは3月末で無償解約に
筆者のどんなときもWiFiは、使っているレッツノートがSIMカードが挿さり、モバイルWi-Fiルーターを使うことがなくなってきたため、無償解約の選択肢を選びました。
ちょうど、どんなときもWiFiは解約したいなと思っていたので、いい機会でしたが非常に複雑です。
今月の通信障害がやばい

今月は、新型コロナウイルスによる不要不急の外出の自粛、テレワークなどの推進、小中高・特別支援学校の休校の影響などもあり、インターネットにおける平日昼間のトラフィックが増大している(IIJ Engineers Blog)というデータもあります。
どんなときもWiFiは、CMやWeb広告などでガジェット・IT系に詳しくないユーザーも多く取り込み、トラフィックの増大が大きかった模様です。
もちろん、前述のコロナウイルス関連の傾向もあり、どんなときもWiFiにおけるソフトバンクから借り受けているSIMカードのデータ容量を使い果たしてしまい、全ユーザーに影響する通信障害を起こしてしまいました。
障害の発生原因としているのは以下の通り。
本日、弊社が回線提供を受けている、パートナー会社より下記のような回答がございました。
①一部のキャリアからのSIMカードの提供がストップしており、SIMの増強に遅延が生じている。
②SIMカードを動かす為の設備の製造および発送が停止、遅延している。①については、キャリア全体のデータトラフィック(通信量)の増加が想定されます。
②については、新型コロナウィルスの混乱による影響となります。
どんなときもWiFi お客様サポートより
パートナー会社は中国のuCloudlink社で、uCloudlink社に供給されるべき、ソフトバンクのSIMカードの提供がストップされていることで、回線増強がトラフィックの増大に追いついていないとのことです。
それに加えて、新型コロナウイルスの影響で、SIMカードを挿入する機器の製造や発送が停止や遅延していることもあり、回線増強がしたくてもできない、というのが現状のようです。
運営元の通信障害の対応がひどい

20日の時点では、今回の通信障害において、運営元の企業のグッド・ラックでは、「完全復旧の見通しが立っていません」と言及。
ちょっと無責任過ぎませんか?でも、uCloudlink社がソフトバンクのSIMカードを借りている一方で、グッド・ラック社はノータッチだとするのが事実だとすれば仕方はないとは思いますが、パートナー会社の名前を挙げて言及すれば少しはマシだと思います。

21日には回線休止を受け付けると発表しました。
回線休止といっても、実際にどんなときもWiFiが唯一のインターネット回線というユーザーも少なくなく、5chモバイル板、Twitterなどでのユーザーから批判が続出。火に油を注ぐ形となってしまいました。

今日22日には、4月上旬より復旧と言及しました。
21日に発表した回線休止を含め、ちょっと無責任にもほどがあるんじゃないかなと。今回、全く使えないユーザーでも回線休止の手続きを取らなければ、月額料金を通常通り取るというのはひどい。
Twitterなどでは何度もモバイルWi-Fiルーターを再起動して、au回線がつかめれば快適との声が上がっていますが、何度も再起動しないといけないのは使えないに等しいと思います。中には半日をそれに費やす人もいるらしく…
筆者は無償解約しますが…
ちょっとこれは対応としてはないかなと。
でも、仮にグッド・ラック社が単純に中国のuCloudlink社とソフトバンクの契約に口を挟めないとしたら、しょうがないとは思いますが、情報公開には積極的になるべきです。ユーザーは正しい情報を求めています。口を濁すような言い方は自分自身の首を締めるだけです。
中には2月の対応とは別に、無償解約を、サポートセンターとのバトルで勝ち取っているユーザー(5chモバイル板より)もいるそうですが、ユーザーごとにしっかりとした一律の対応を取るべきです。
個人的にグッド・ラック社にキレているのは、いわゆる公式サイトにおける “裏契約” があるという点です。
裏契約では、通常の契約とは異なり、レンタルされるモバイルWi-Fiルーターの返却が不要で、解約金の設定が通常のプランと有利な条件に設定されているそうです。
これを5chモバイル板で知ってキレました。
クラウドSIMでの “使い放題” サービスは限界があるはず、というのを以前ブログに書きましたが、そのXデーが来てしまった模様です。
個人的にも、3キャリア対応のモバイルWi-Fiルーターとして重宝していただけに、今回の通信障害は非常に残念です。ライトユーザーにも、ヘビーユーザーの負担がかかってしまっただけに、不公平感が漂った今回の通信障害ですが、グッド・ラック社やどんなときもWiFiで信頼を取り戻すのはかなり時間がかかりそうです。